モスラの変身を解いた深愛は国道にそのまま着地した。
全身はボロボロ状態であるが、意識はしっかりとしている。
「…………最後の最後に熱線吐いてくれちゃって………。」
「海堂一佐、御無事でありますか?」
ヘリコプターが着陸し、三等海曹が中から飛び出して生存を確認した。
「すぐに手当を………。」
「あ、大丈夫。これぐらいの傷なら、G細胞の効果ですぐ治る。」
深愛の言葉と同時に、傷がみるみるうちに癒されていく。
「……………ホント、こういう時ってこの体便利だよね………。」
パンパン、と体についた土埃を払いながら、深愛は立ち上がった。
「…………怪獣の遺伝子を人間の受精卵に組み込むM計画………ですか。
非人道的な行為だとは思っています。
ゴジラを倒すためだけにどれぐらいの受精卵が犠牲になったのか。
自分には想像がつきません。」
「それでいいんだよ…………普通はね。
でもそれぐらい、防衛軍も追い詰められていたんだと思う。
防衛軍の総力をもってしても、ゴジラは倒せなかった………。
だから、人間の知性を持った怪獣を生み出そうとした。
でも、計画はなかなか進まなかった………。
人の身で怪獣の力をコントロールするなんて、無理があったんだよ。」
「だけど、海堂一佐という成功例が生まれてしまった。M計画は成功してしまったんですよね………。」
「………うん。」
肩を背負ってもらいながら、深愛はヘリコプタ―に乗った。
「……………私という存在が人間にどういう影響を及ぼすかわからない。
……今でもわからないな。母さんがどうして、私を人間として育てようとしたのか。
深愛と言う名前をつけたのかも。」
ヘリコプターは深愛達を乗せ、姫百合市にある避難所に向かった。
「………あ、深愛!!」
避難所に到着すると、涼子が駆けつけてきた。
「深愛、出動していたの?」
「まぁね。」
「何か凄い疲れた顔をしているよ?」
「………まぁ、色々とあってね。」
「私、何か飲み物持ってくるね!」
そういうと涼子は飲み物を貰いに、深愛から離れて行った。
「………お知り合いですか?」
「クラスメイト。」
「………そうですか。良い性格の方ですね。」
「何も知らないからね。
………でもまぁ、私の体質のことを知ったら恐れおののくと思うけど。」
「それはわかりません。いつか打ち明けられたらいいですね。」
「………うん、まぁね。」
続く。