「………んじゃまあ、採血の結果は次に来た時に伝えますんで。
これで検査は終わりです。」
「………蒼氷さんは防衛軍に所属していないんですね。」
「そりゃあまあ、防衛軍に所属していると色々制約があるんですよ。
機密事項やらいっぱいありますんでね。
それに。」
「………それに?」
「M計画で凍結されている受精卵を保護するという役割を任されているんでね。
お姫様はもう無理ですけど、怪獣の遺伝子を除去することができれば
普通の人間として暮らせる子達の未来を守ることができるんで。」
「なるほど…………。」
「それに受精卵を人質に取られたくはないいんで、防衛軍には所属していないんですよ。」
「はぁ………。」
「あまり深くは考えないでくださいね。
これはあくまでもM計画に関わって、16年前の事故で生き残った連中に課せられた
重責であり、義務なんですから。」
「…………そう、ですか。」
蒼氷の話に涼子はそう呟いた。
「まあ、仕方のないことなんですよ。16年前の事故は。
そもそも怪獣を人間の手でコントロールするなんて言うこと自体、無理があったんだ。
防衛軍の総火力をもってしても、ゴジラを倒すことはできない。
怪獣に変身できる人間を公表させてしまえば、
防衛軍は存在することができなくなる。
国際レベルの戦争に駆り出されることになったら、おしまいですよ。
だから、隠しているんです。
俺は民間の立場から、お姫様の存在を隠しているんですけどね。」
「結局は防衛軍と民間、両方の立場から深愛を守っているってことなのね。」
「そういうことになりますね。」
続く。
カフェで恋人パフェを堪能した後、4人は店を出た。
日はすっかり暮れ、夕方の時間となった。
「……………ホント、来て良かったわ。」
「また時間のある時にいつでも来れるじゃないか。」
「ああ、そうだな。」
「また忙しくなりますよね………。」
「そうですねぇ。」
「………真剣乱舞祭のこともあるし、な。」
「うん。」
「ねえ、貴方。夜景を見に行きましょう!」
「この近辺だと、公園ぐらいしかないが。」
「いいの。ハウステンボスみたいに豪華なイルミネーションじゃなくても、
貴方と一緒に見られるなら、幸せよ、私。」
「そ、そうか。」
「綾人お兄様、幸せ者ですね。」
「ホントだね。」
「まあ、そうですよね………おしどり夫婦ですから。」
「私達もおしどり夫婦になれますかね、芳樹さん。」
「大丈夫だよ、俺達もおしどり夫婦になれるから。」
手を繋ぎ、イルミネーションの点灯が行われる公園へ向かう綾人と美穂を見て
芳樹と満月は笑った。
「…………ちなみに私、子供何人産めばいいんでしょうか?」
「………3人以上は欲しいな。」
「若旦那様?お嬢様に無理はさせないでくださいね、それは結婚してからの話です!」
「そうじゃ。」
「……幾ら仲が良くても、ヤリすぎは良くない。ダメ、絶対。」
「……………ホント、守り刀達はしっかりしているから助かるよ……。」
続く。