高等部の廊下を歩いていると、校庭がガヤガヤと騒いでいた。
「何?」
「何かあったんでしょうか?」
「………ひょっとして…………。」
「………芳樹、満月!お久しぶりです。」
「…………あ、やっぱり………。」
「………姉さん…………。」
「………え、皇太子妃綾子様!?」
「………うわ、皇室の方がいらっしゃるなんて………。」
「綾子お義姉様、お久しぶりです。」
「……満月ちゃん、姉さんにもチケットを?」
「公務が忙しいから、無理かなあとは思っていたんですけど念のために。」
「可愛い義妹から招待されたのです、公務なんてすぐに片づけました。」
ドやる東雲宮綾子に芳樹ははぁ……とため息をついた。
「ああ、2人とも久しぶりだね!」
「………いや、ちょっと待て。」
「智仁様、さすがに貴方が来られるのはどうかと思いますが。」
「固いことは言わないで欲しいなぁ。」
「………申し訳ありません、芳樹様。綾人様。
この鬼丸、白山と共にお止めしたのですが、聞く耳を持たず………。」
智仁の守り刀を務める鬼丸国綱は芳樹と綾人に謝罪をした。
綾子の守り刀である白山吉光は毎度のことなのか、あきれてため息をついた。
「可愛い義弟の婚約者の晴れ舞台ともなれば、ぜひ拝んでおきたいと思って
慌てて公務を片付けたんだ。
それとも何かな?仲間外れにする気なのかな?」
「……………。」
バッチン、とウィンクをする智仁に芳樹は頭を抱えた。
「………姉さんも止めればいいのに………。」
「でも、公務に働きづめとなると気分が優れなくなるのは確かです。」
「そうそう、あーやの言う通り!
大丈夫さ、満月ちゃんの舞台を見たらすぐに帰るよ。」
「………ったく………。」
「……………芳樹さんと智仁様は仲が悪いんですか?」
「まさか。仲は良い方だよ?案外似た者同士だからさ。
それに、数少ない友人なんだよ。僕達も入れてさ。」
悠人の説明に澪と真琴はなるほど………と呟いた。
続く。