…………そして、次の日。
「…………よし、こんなもんで良いかな。」
美月大学付属高校の廊下であさぎはMAHO堂のポスターを貼った。
「……へぇ、花屋さんをするんだ。」
クラスメイトに声をかけられて、あさぎはクルッと振り向いた。
「うん。知り合いが急に亡くなって、引き継いでくれる人を探していたんだ。」
「良かった、美月町は花屋さんが少ないから買いに行くね。」
「ありがとう。」
「………ねぇ、ところで鹿目さんのおばあさんってコモドオオトカゲと戦ったってホント?」
「いやいやいや、そんな大きなトカゲと戦って勝ったって話は聞かないよ。
……まぁ、熊ならぶっ倒したことがあるけど。杖1本で。」
「……え、嘘!?凄くない!?」
実際には魔法の杖を使って追い払っただけなのだが、嘘をついているわけではないので
あさぎは訂正しなかった。
「………鹿目さんのおばあさん、人間やめてない?」
「いやー……長生きをしていたことだけが取り柄だったからねー…………。」
「………あー、てなわけでお前らに新しいクラスメイトを紹介する。
本来なら入学式に出席するはずだったんだが、ちょっと芸能界の事情って奴で出れなかった
玉置流司クンだ。」
「ちわっす、俳優やっている玉置流司です。よろしく。」
流司が挨拶をすると、女子生徒達は黄色い歓声をあげ男子生徒はおぉ、と声をあげた。
「………………。」
「?」
流司はただ1人、窓の外を眺めていたあさぎに首を傾げた。
「席はそうだな、鹿目の隣が空いている。……おぉい、鹿目。」
「はい、何でしょう。」
「学校案内やってくれ。放課後までは時間あるだろう?」
「………そうですね。」
「よろしく、鹿目さん?」
あさぎの隣に移動した流司はそういうとにこやかに笑った。
「………………よろしく。」
続く。