「私は小鳥遊咲良と言います。こちらは私の初期刀にして近侍の蜂須賀虎徹です。」
「蜂須賀虎徹だ。俺を贋作と一緒にしないで欲しいな。」
「………ああ、蜂須賀虎徹。蜂須賀家に伝来した、真作の虎徹ですね。」
「あら、知っているのね。」
「それだけしか知りませんけど。」
「良かったじゃない、蜂須賀。」
咲良の言葉に蜂須賀はにこやかな笑みを浮かべた。
「……………審神者の方が私に何の用事ですか?」
「いえ、洋服姿の三日月が珍しかったから声をかけたの。
私のところにも三日月はいるけど、こういうところに来るなら内番姿かなって思って。」
「………内番?何、着物以外の服装持っていたの?」
「………俺は持たんが。」
「珍しいわね。貴女、本丸を持っていないの?」
「………あー、実は少々特殊な事情がありまして。」
咲良と蜂須賀が席に座ったのを確認し、満月は三日月に目配せをした。
「うむ、俺は話しても構わんぞ。事情を知っている者は1人でも多い方がいい。」
「………そっか、わかった。じゃあ、話すね。」
満月は抹茶ラテマキアートを一口飲むと事情を話した。
昨日、歩道を歩いていると三日月が落ちていたこと。そして彼の名を呼ぶと顕現したことを。
「………なるほどね。確かに珍しいし、ちょっとおかしいわね。
考えられる要因としては、審神者が顕現する前に本丸に何かあったのかしら。」
「………でもわからないんですよね、三日月もそこら辺の記憶がないから確認のしようがないし。」
「そうねぇ………今の状態で政府に連絡したら、研究対象になるから原因がわかるまでは
連絡しないのは賢いわね。」
「しかし、俺達みたいに正規の契約を結んでいないから、後々面倒事になるのは確かだ。」
「じゃあ、こうしましょう。私達の保護下に置くって言うのはどう?」
「保護下に?」
「ええ。審神者適性を持つ子が本丸外で刀剣男士を顕現させたことは報告するけど
何故本丸外に刀剣男士がいたのかは原因不明、それについては保護した本丸が調べるっていうのは。」
「私達にメリットはあるんですか?」
「デメリットは私達の管理下に置かれることだけど政府からの追求をかわし続けることはできるし、
色々と制約からも逃れられるし、悪い条件ではないと思うのだけれど。」
「…………そうだな、主は原因がわかるまでは本丸を持たんと言っているし
都合が良いかもしれぬ。」
「………まあ、三日月がそういうならそうかもね。」
「なら、決まりね。大丈夫、貴女達にとって都合の悪いことは政府に報告しないから、安心して。」
続く。