年の瀬には一日五十万人の客が押し寄せるという東京・上野の商店街「アメ横」で、外国人の経営する店が急増している。既に一割強の約五十店にもなるという。
外国からの観光客増や後継者難が背景にあるようだ。 (吉岡逸夫)

日曜の昼時、アメ横センタービル一階の東側にある中華料理店「吉祥焼き小籠包」は、中国人の若いカップルらでにぎわっていた。十数席の店内はほぼ満席で、「焼き小籠包」や「揚げパン」が人気。家族で経営する徐楓(じょふう)さん(29)は「上野は中国人がたくさんいるので八年前に店を開いた。いい商売になってるよ」と笑う。

三軒隣の欧風鶏料理店「Chicken Man」は、客の半分以上が外国人。
ネパール人店員のビショヌ・カールキーさん(39)は「うちはタイやフィリピン、マレーシアの客が多いね」と、やはり笑顔を絶やさない。
センタービルの東側は、この二店を含む八店が外国人の店主か店員のいる店だ。
全長約五百メートルに四百店がひしめくアメ横通りのうち、この辺りが最も多国籍化しており、ガーナ人やトルコ人の店も。向かいのアメ横プラザにはアフリカ系の人たちが売るブティックもいくつか入居している。

いつごろから外国人の店が増えてきたのか。
アメ横商店街連合会の広報担当部長、千葉速人さんは「二、三十年前から韓国人の店はいくつかあったし、センタービルの地下には中国人の食材店があった。でも、目立つようになったのはここ数年。
ケバブの店が約十年前に開店して人気が出たのがきっかけかな」と話す。
理由としては「どの店も古く、三代目になりつつあるが、後継者がいない店もある。
アメ横が外国のガイドブックでも紹介され、外国人観光客が増えたのも一因」と説明する。

週末には一日十万人以上、平日でも三、四万人の人出があるといい、賃貸料も決して安くはない。
千葉さんは「彼らはよく働くよ。ほぼ無休でやってる。懸命に働いていた昔の日本人をほうふつとさせる」と話している。

アメ横 アメヤ横丁の略。東京都台東区のJR山手線御徒(おかち)町-上野駅間の高架橋西側と、高架下に沿った商店街を指す。第2次世界大戦後、さまざまな物品が売られた。
名前の由来は、あめを売る店が多かったからという説と、米進駐軍の放出物資を売る店が多かったからという説がある。
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