イワシさんからのリクエスト
たかみなside
「優子、待ってや〜」
「おせーよたかみな!」
「また二人でじゃれてるよ....」
「背小さいから余計子供みたい....」
「ちょっとにゃんにゃん!ひどいよ〜」
私達はいつも四人でいた
優子と私は姉妹で
敦子と私は付き合っていて
小嶋さんと優子が付き合っている
今、この四人でいることが私の幸せだ
ちょっとうるさいけどホントは人一倍気を使えるムードメーカーな優子
あまり喋らなくて無愛想に見えるけどホントは誰よりも繊細で人のことを考えれる敦子
見た目が綺麗なのに気取らなくて誰にでも優しくちょっと天然な小嶋さん
みんな大好きで、なにより大切だった
あの日までは....
「ねえ、ちょっといい....?」
「どうした?たかみな」
「最近さ、敦子の様子がおかしいんだけど...」
「おかしいってどんな風に?」
「なんか…遊びに誘っても断られるしメールも返してくれないし、すごく冷たい」
「へぇ……あっちゃんがねぇ…」
興味なさげな優子だけど
私があまりにも落ち込んでいるからか、じゃあちょっと調べてみる?と言って
次の日からあっちゃんの行動を優子と隠れて観察していた
でも、あっちゃんの行動を見ていくとあることが一つわかった
「なんかさ、最近よく小嶋さんと一緒にいるよね?敦子」
「私もそれ思った、あの二人そんな仲よかったっけ?」
敦子は私と優子繋がりで小嶋さんと知り合ったんだけどたそこまで一緒にしゃべっているとこを見たことない
そして今日も敦子の後を追っていると小嶋さんと約束していたのか遠くに小嶋さんの姿がみえた
「今日も一緒だね……優子?」
優子がなにも言わないから横を向いたら
ちょっと動揺した顔をしていた
「今日……にゃんにゃんデートに誘ったら家族と出かけるから無理って言われたのに……」
信じられないとでもいうような顔をして陰から敦子と小嶋さんを見つめる優子
このとき少しだけ嫌な予感はしてたんだ
それでも二人が別の場所に移動している後をただ追うしかなかった
そして二人が入っていった公園で
見てしまった、見てはいけなかったかもしれない
ベンチに座る二人は
どちらともなく当たり前のようにキスをしていた
何回も角度を変えて……
目の前の光景が嘘のようで私の周りだけ時間が止まったみたいだった
敦子が……そんなことするはずないって
人を傷つけるような人じゃないって
そう思いたかっただけで実際、小嶋さんとのキスを拒むような行動は見えなかったし
心なしか……幸せそうに見えた
「……帰ろ、たかみな」
優子が私の手を掴んで歩き出した
そのときに見えた優子の顔は涙で濡れていた
手からもその悲しさが伝わってきて
私まで涙が出てきてしまう
「……顔ふきな?」
家につくと優子は泣いていなくて
代わりに私の顔が涙でぐしゃぐしゃだった
そんな私に優子はタオルを持ってきてくれた
「ありがとっ……」
「大丈夫か?」
ソファーに座る私の隣に眉を八の字に下げて心配そうにみてくる優子がいた
ホントは優子だってつらいはずなのに
優しいから私の心配ばかりしてくれる
「大丈夫だ……傍にいてやるから」
そのまま優子は私を引き寄せて抱きしめてきた
いつもの優子とちょっと違ってビックリしたけどすごく安心した
「優子……ありがと、もう大丈夫だから」
しばらく抱きしめられててだいぶ落ち着きも取り戻したから
優子から離れようとしたけど優子は抱きしめる力を緩めようとしなかった
「優子……?」
「ごめん……たかみな」
目があったと思ったら
いつの間にか優子の顔が目の前にあって
口にはリアルな感触があった
キスされたって気付いたのは少し経ってから
離れていく優子は泣きそうな顔をしていた
「ごめん……」
何に謝っているのかわからなかったけど
キスされたのは嫌じゃなかった
そして、もっとキスしたいって思いもあった
だから自分から優子に唇を重ねたら
ビックリしたみたいでそれでも受け入れようとしてくれてどんどん深いキスに変わっていった
「はぁっ……優子?」
唇が離れたらいつになく真剣な目をした優子がいた
「後悔しない?」
優子の手は震えていた
「私にはもう、たかみなしかいないっ……」
綺麗な瞳から涙がこぼれていった
「しないよ、私だってもう優子しかいないんだから」
そういえば優子は少しだけ微笑んでくれた
「どうなってもしらないよ?」
「それはこっちのセリフだよ、優子」
優子をお姫様だっこしてベットに二人で沈む
「忘れよ……嫌なこと全部」
「うん……」
「好き……」
代わりじゃなくてホントに好きになったみたい
優子が愛おしかった
だからめちゃくちゃにしてなにもかも忘れるくらいの熱い夜を過ごした
次に起きたとき私たちは幸せになれるかな?
end