ジルさんとレキのお話です。
いっぱい食べる君が好き〜♪なのを書きたくて…
*ATTENTION*
ジルさんとレキのお話です
ほのぼのなお話です
意外と食べることが好きなジルさん
レキ料理も好きなので…
ジルさんが喜んでるところを書きたかった←
そしてジルさんの発言は何処までも可愛いと思うのです
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
食堂に入り、一緒に食事をとる。
上品に食べ物を口に運ぶジルをレキはじっと見つめていた。
「?レキ?」
その視線に気づいたらしいジルはきょとんとした表情でレキの方をみた。
レキははっとして慌てて首を振ると、何でもないよ、と誤魔化した。
ジルはそれを聞いてそうですかとつぶやくと、食事を再開した。
ビュッフェ形式の食事。
そこからレキが食事をとってきたのだけれど……
二人のテーブルには、ほかのテーブルにはない料理が幾つか乗っていた。
レキはジルがそれに手を着けるのを待っていたのである。
−− さかのぼること、数十分前まで。
レキは、ジルが仕事で外にでているうちにキッチンに立っていた。
夕食の時間までは少し時間があって、自由に使うことが出来るキッチン。
そこにたって、彼は一生懸命に料理をしていた。
ジルは食べることが好きだ。
かなり華奢な体格だが、割と量も食べるし、美味しいものは好きらしい。
一緒に食事をとっていると楽しくなってくるくらい、うれしそうに食事をとる。
どうして?とレキが問えば、こうして三食、大切な人と一緒にとれるのがうれしくて仕方ないのだといっていた。
「私がいた時代は保存技術も未発達ですし新大陸からの食材もなかったですし、調味料も砂糖やはちみつがあったぐらいだったので……ああ、幸せですー!」
そう、幸福そうにいっていたのは、記憶に新しい。
新大陸……ディール共和国などがある方からの食材はみたこともなかったようで、それにおおはしゃぎしていた。
ジャガイモやトマトといったたぐいのものである。
レキはそんな彼をみながら、密かに思っていた。
彼のために夕食を作ってあげたい、と。
レキは料理が得意だ。
普段はあまりしないのだが、騎士になってから時折自分で作っているうちにうまくなった。
そんなスキルを持っているのだから……自分の手で恋人を喜ばせたいと思ったのである。
今日作ったのは、メインとして持ってきたトマトのパスタとジャガイモのポタージュ。
ほかにもちょっとした付け合わせなどはレキが作っている。
ジルは、気づかないかも知れないけれど……
自分が作った食事を食べて、あの幸せそうな顔をしているジルをみたいと思ったのだった。
***
「ん、あれ……?」
ジルが不意に声をあげた。
レキが視線を向けると、パスタに手を着けながら不思議そうな顔をしているジルがいた。
少しどきりとしつつ、レキは首を傾げた。
「どうかしたか?」
「これいつもと味付けが違いますね……担当の方が変わったのでしょうか」
そうつぶやくジル。
どうやら普段食べているものと違うということに気づいたらしい。
美食家、と言っていたし当然か。
そう想いながらレキは息を吐き出した。
「そ、そうか、……いつもより美味しくない?」
やっぱり素人の作る食事だ。
プロにはかなわないだろう、とレキは思う。
見た目だって少し崩れてしまったし……などとネガティブなことを考えていると、ジルがもう一口パスタを口に運んだ。
それを咀嚼して飲み込むと、彼はふわりと微笑む。
「なんだかとっても愛情が篭っているといいますか、暖かいお味ですねぇ……
これを作ってくださった方はお優しい方なんでしょうね」
とても美味しいです。
ジルはそういう。
レキは彼の反応に大きく目を見開いた。
頬が、朱に染まるのがわかる。
それをジルに気づかれない要にそっぽを向きながら、レキは声をあげた。
「そ、そっか!良かった、それなら」
そういいながらレキも自分の食事に手を着ける。
−− どうしよう、すっげぇうれしい。
自分が作った食事と気づいていなくても。
それでも彼は美味しいといってくれた。
それがうれしくてたまらない。
しかし、今更ネタばらしも出来なくなった。
あれほどほめられたあとに自分が作った、なんて照れくさくて言えない。
いいや、知らないままで。
でも時々、料理はつくってやりたい。
レキはそんなことを考えながら、食事を口に運んでいく。
ジルはそんな彼をみて目を細めていたのだった。
***
二人で自室に戻る。
ふぅっとレキは息を吐き出して、制服を脱ぎ捨てた。
ジルはそのままベッドにつぶれる彼をみて、微笑みながら、声をかけた。
「明日のご飯の仕込みなどはいいのですか、料理人さん?」
「えっ!?」
ジルの言葉に驚いてレキは飛び起きる。
今の発言は、まるで……
「え、ジル、気づいて……」
「ふふふ、はじめは気づきませんでしたが……貴方の反応を見ていたらもしかしたら、と」
正解のようですね。
そういって、ジルは微笑む。
そして彼はレキの瞳を見つめながら、言った。
「生憎ですが私はなんであっても気に入った方は召し抱えたくなる質の領主でして。
ね、料理人さん、私の専属料理人になりません?」
彼はそういってにっこりと微笑む。
レキはそれを聞いて幾度も瞬きをしてから、照れくさそうに言った。
「ふふ、気づいてた、のか……美味しかった、なら良かったよ。
ジルが美味しいもの好きだって言ってたから……
でもよく考えたら俺が作るより料理人に頼んだ方が美味しいよなあ、また頼んどくよ 」
彼に喜んでほしくて作ったのだけれど、よく考えたら自分が作るより料理人が作ったほうが美味しいに決まっている。
お前が好きなものを作らせるよ、とレキは言った。
ジルはそれを聞いて大きく目を見開く。
それから、苦笑混じりに言う。
「まあ、あんなに褒めたのに他の方に頼むとは……
私はあの料理、あの味、あの愛情の篭ったものが食べたいのです、他の方では駄目です」
また、作ってくださるでしょう?
そういって、ジルはレキの頬をなでる。
レキは彼の手を感じながら幾度も瞬いて、照れくさそうに頷いた。
「あ、あんまり凝った料理とか作れないぞ?」
「かまいませんとも」
「味も、見た目も、いまいちかも……」
「それでも貴方の愛情に適うものはありますまい」
くす、とジルは笑う。
その甘い声で、また作ってくださいな、とねだられればNOとは言えない。
レキは照れくさそうな表情のまま、小さく頷いたのだった。
−− こめられたものは… −−
(その暖かな料理にこめられたもの。
それは、貴方の確かな愛情で)
(愛しい人に料理を食べてもらえる。
それは、とても幸せで…)