フォルスタでのお話です。
「夏の風物詩?」の続き的なノリで…
お風呂入るのが何気に怖くなっちゃうの、可愛いと思いました…←おい
*attention*
フォルスタでのお話です
本家Laurentia!(学パロ)設定でのお話です
ほのぼのなお話です
「夏の風物詩?」の続き的なお話です
テレビ番組とフォルの悪戯の所為でちょっと怖がりになってるスターリンさん
フォルの行動パターンは単純なので利用するのも簡単だったり←
結局らぶらぶな二人だったらいいなという妄想←←
相変わらずの妄想クオリティ
ナハトさん、本当にすみませんでした…!
以上がOKという方は追記からどうぞ!
自室に恋人をつれて戻ったフォルは、やや途方にくれていた。
というのも、先刻の一件……
心霊番組途中に明かりを消すと言う悪戯をしてから、恋人の機嫌は最底辺。
ただでさえ苦手な心霊番組中に、苦手な真っ暗闇を作り出されたとなっては堪らない。
ついでに言うのであれば、あんな状況を作られたために情けない姿もさらした。
それが決まり悪いのも相俟ってか、さっきから彼……
スターリンは一度とフォルと口を利こうとしないのだった。
元々お喋りなフォル。
挙げ句今日は久しぶりにこうして一緒に過ごせている。
さっきの番組およびフォルの悪戯が余程堪えたと見えたフィアがさりげなく、
"もう遅いし泊まっていったらどうか"と勧め、
結局スターリンはフォルの部屋に泊まっていくことになったのだが……
さっきから部屋を埋めるのは沈黙だ。
「書記長様ー」
「…………」
フォルが声をかけるが、スターリンは反応しない。
彼と目を合わせることもせず、適当な本をめくっている。
フォルはそんな彼を見て眉を下げた。
「書記長様ってばぁ……」
憐れっぽい声で呼ぶフォルに、さしものスターリンも黙ってはいられなくなる。
こういう声を出されると、何だか子犬でも苛めたかのような決まり悪さを感じるのだ。
そもそもスターリンはフォルのことが嫌いなわけではないのだから。
スターリンは本から視線をあげてフォルを見る。
彼は泣き出しそうな顔さえしながらスターリンを見ていた。
―― 全くこいつは……
そう思いながらスターリンは溜め息を一つ。
彼が顔をあげたことにぱぁっと顔を輝かせたフォル。
スターリンはそれを見て眉を寄せると、ぼそりと呟くようにいった。
「……煩いのだよ」
それを聞いてフォルも再びしょぼんとした顔をした。
そしてスターリンを見つめつつ、言う。
「ごめんって……やり過ぎた」
そんな彼をスターリンはじっと見つめる。
そんなにムキになって怒ることでもないくらいわかってはいるが……
さっきの彼の悪戯で驚かされた事に怒っているのは事実だし、
何よりフォルのこのすぐに調子のる癖は何とかしたいところだ。
だからわざとぷいとそっぽを向いて、いう。
「許さないのだよ」
もう知らない、というスターリンを見て、フォルは完全に困り果てた顔をしている。
どうやったら自分の恋人が許してくれるのか、全然想像つかないらしい。
「うー……」
彼が小さく唸り声を洩らした時、とんとんとドアがノックされた。
それと同時にフォルとスターリンは顔を上げる。
"どうぞ"とフォルが声を上げると、ドアが薄く開いて、
フォルの妹……フィアがひょこりと顔を出した。
そして、部屋の中に居るスターリンを見る。
彼女を見つめてスターリンはきょとんと首を傾げた。
フィアはそれを見つめて、言った。
「スターリン、風呂沸いてる。入ってきてくれ」
私やフォルは後でいいから、と言ってフィアは部屋を出て行く。
トントンと階段を下りていく音が聞こえた。
スターリンはフィアの足音が遠ざかるとふぅっと息を吐き出した。
そして、"フィアのいう通り先に風呂入らせてもらうか"と呟く。
こうしてスターリンがフォルの部屋に泊まる時、服は大体、フォルのものを借りている。
スターリンはちらとフォルの方を見た。
フォルはフィアが出て行くと、自分のクロゼットから適当な部屋着を取り出した。
そしてしょぼんとした顔はそのままに、スターリンにそれを手渡す。
スターリンは"ありがとう"とそっけなく言って、それを受け取った。
そしてすたすたと部屋をでていく。
フォルはそれを見送ると、ふぅっと息を吐き出した。
「どうやったら許してくれるかなぁ……」
うぅ、と小さく呟くフォル。
彼の悩みが解決するまでには、もう暫し時間がかかりそうだった。
***
それから、スターリンはオーフェス家のバスルームに向かった。
フィアもフォルもかなり綺麗好きな方らしく、バスルームも綺麗に片付けられていた。
そこで服を脱ぎかけて……スターリンは手を止めた。
そして、ちらりと鏡を見る。
先程見ていた心霊番組。
その中に幾つか、鏡にまつわる話があったっけ……?
「う……」
スターリンは小さく呻いた。
洗面所は勿論、バスルームにも鏡はある。
挙句、バスルーム内は完全な密室。
しかもシャワーを浴びている間は……目を開けている事さえ出来ない。
「……べ、別に」
ビビってるわけじゃないのだよ、とスターリンは呟く。
しかし、その声は何処か怯えたようなもの……
スターリンは小さく息を吐き出して、鏡を見る。
しかしすぐにそれから視線を逸らした。
―― そこに、何か映りそうな気がした。
良くあるではないか。
洗面所や風呂場の鏡に映らないはずのものが映る、なんて話。
挙句、そのまま鏡の中に引き込まれるなんて話も……
馬鹿馬鹿しい。
夜中でもあるまいし。
そう思いつつも……やはり、怖いものは怖い。
スターリンは"くそ……"と小さくぼやくと、一度服を着直した。
そしてフォルに渡された着替えをバスルームにおいて、一度そこを出て行った。
***
バスルームを出て行ったスターリンが向かったのは、一度出てきたフォルの部屋。
そこにドアをノックすることもなしに入る。
「フォル」
「!書記長様?どうしたの?お風呂、入ったんじゃなったの?」
フォルはきょとんとした顔をしてスターリンを見る。
スターリンは小さく息を吐き出して、言った。
「……今度、何か奢れよな」
「へ?」
小さなスターリンの声にフォルは少し驚いた顔をする。
スターリンはあちこちへ視線を彷徨わせると、小さく息を吐き出した。
「……今度同じ事したら今度はもう許さないのだよ」
「!わかった!ごめんね、書記長様ー!」
フォルは半泣きでスターリンに抱き付いた。
そのまま彼は彼の頬にキスをして、甘えるように囁く。
「ねぇ、一緒にお風呂はいっちゃ、ダメ?」
そう囁きかけるフォル。
スターリンはそれを聞いて視線を彷徨わせた後、小さく頷いた。
「……良い、のだよ」
「あれ?今日は素直だね……」
フォルはスターリンの反応に少しだけ驚いた顔をする。
いつもならば一緒に風呂に入ろうという言葉には大体ごねるのに。
スターリンはそんな彼の言葉を聞いて、そして小さく呟くような声で言った。
「別に……今日は、気が向いただけなのだよ」
「……ふぅん?」
フォルは小さく笑った。
何となく、わかった。
一人で風呂に入るのが怖いと思ったのだろう、と。
「良し、じゃあ一緒にお風呂入ろう?」
そういうと同時、フォルはスターリンの手を引いて、風呂場に向かった。
***
そうして、二人はバスルームに入った。
フォルが先に髪や体を洗い、バスタブに入った。
次にスターリンが髪を洗いはじめる。
スターリンは髪を洗いつつ、ちょいちょい後ろを気にしている。
フォルはそれを見て、きょとんとしたように首を傾げた。
「どうしたの?書記長様?」
「……何か、後ろに居そうな気がするのだよ」
スターリンはそう小さく呟いた。
長い髪を洗うのには時間がかかる。
そうしている間に後ろから何か……人でない何かに襲われそうな気がするのだ。
フォルはそんな彼の言葉を聞いてくすくすと笑う。
そしてバスタブからあがった。
そのままスターリンの後ろに立つ。
「な……っ」
「こうしといたら良いでしょ?」
フォルはそういって、笑う。
そしてそのまま、彼の髪を洗いだした。
「うわ、ちょ、フォル……っ」
「僕が洗ってあげるー」
フォルはそういって微笑むと、彼の艶やかな髪を洗ってやる。
これならば後ろに何かが居るなんて思わなくて済むだろう、と。
スターリンは暫し逃げようとしていたが、やがてふっと笑った。
確かにこれならば安全だな、と。
フォルはそうしておとなしくなった恋人を見て目を細めた。
そして優しく彼の髪にシャワーを当てたのだった。
―― Lily‐livered ――
(強がりな割に臆病な恋人
それが可愛くて愛しくて仕方ない)
(お前の行動パターンは読めてるのだよ。
お前の所為でこうなったんだからこれくらい許せよな)
2014-7-31 18:13