今日はバレンタインですねー。
男の子も女の子もそわそわしちゃいます…
あの子もこの子もバレンタインです。
そんなわけでハンターのみんなもバレンタインです。
バレンタイン裏話
ジャル「おい……野郎ども。今日の聖戦の成果を報告しあおうじゃねえか」
ダズ「いきなりどうした? 聖戦?」
ディル「ついに頭がやられたか」
ジャル「ちっげーよ! てめえらも男ならわかんだろ!! バレンタインだよ! ば・れ・ん・た・い・ん!!!!」
ダズ「なんだ、バレンタインか。そんな回りくどい言い方しなくてもいいじゃないか」
ジャル「うるせーよ、何でお前そんな余裕ぶってんだよ。むかつくな」
ディル「ばれんたいん……?」
ジャル「またこのパターンか。お前いい加減に記憶しろよ」
ディル「うるさい。べつに覚える必要もないもののため脳を使う必要もないだろうが」
ジャル「一般常識くらいは覚えろっての! というか、男にとっても、もちろん女の子にとっても一大イベントなんだぜ。バレンタインってのは」
ダズ「言うほど一大イベントなのか? そもそもバレンタインっていうのはどこかの司祭が……」
ジャル「あーいらん! そういう回りくどい知識のひけらかしはいらん! ようはバレンタインは女の子が大好きな人に手作りお菓子をプレゼントして想いを伝える日なんだよ。そして女の子のそのまっすぐで一途な想いに俺たち男がやさしく、熱く、応えてやんなきゃいけねぇんだ。そういうことなんだ。わかったか」
ディル「まったく興味がわかないが。今日やたら変なものを渡されたのはそのせいだったのか」
ジャル「……な!」
ダズ「おお、けっこうあるね」
ディル「所用で外に出たときにな。荷物になるし捨てようかと思ったんだが、ディーナがもらっておけとうるさいからそのまま持って帰ってきたんだ」
ジャル「てめえ……ちゃっかりしっかりもらっていやがるとは……ぐぬぬぬ……っていうか、ディーナもいたのかよ」
ディル「ああ。それがなんかあるか?」
ジャル「いや、まあいいや。別に?」
ダズ(ディーナも大変だなあ)
ジャル「それよりダズ! お前はどうなんだよ。お前のことだから、どうせもらってな……」
ダズ「俺はこんなところかな」(どっさり)
ジャル「はああああああ!?」
ディル「重そうだな」
ダズ「診療所の患者さんたちや、手伝いにきてくれる方からいただいだんだ。小さい子どもも、手作りのクッキーとかを作ってくれてね。ありがたいよね」
ジャル「……」
ダズ「おや? 急にテンションが下がってるみたいだけど、どうかしたかい、ジャル」
ジャル「う、うるせー。べ、べつにテンション下がってねえし」
ディル「お前もなんかもらったんだろ?」
ジャル「…………くっ」
ダズ(涙!?)
リサ「あ、いたいたー! おーい、こんなとこであつまってなにしてんの?」
ダズ「リサ、それにディーナとリイラも。そちらこそ、三人でどうしたんだい?」
リイラ「今日は何の日か、特にジャルならご存じですよね」
ジャル「……! まさか!」
ディーナ「そのまさかだよ」
リサ「じゃーん!」
ジャル「うおおおおおおお! 女神!!!!」
ディーナ「私たち三人で作ったんだよ。これが私から」
リイラ「これが私のです」
リサ「で、これがあたしだよー!」
ジャル「……なんだろう。目にゴミがっ」
ダズ(よかったな、ジャル……)
リサ「ダズにもあるよー!」
ダズ「ああ、ありがとう。三人とも」
ディーナ「はい!」
ディル「……」
リイラ「ディーナ、がんばったんですから、ちゃんと食べてくださいね」
ディル「わかったよ」
リサ「今ここで食べてよ! で、感想教えて」
ディル「なんでだよ」
リサ「いいからー!」(むりやり押し込む)
ディル「むぐ!?」
リサ「どう?」
ディル「…………普通。に、食える」
リサ「味は? うまい? うまいでしょ!?」
ディル「……うまい」
リサ「だって! やったねーディーナ!」
ディーナ「よかった……!」
リサ「よかったよかった! これでリイラも報われるねー!」
リイラ「ふふ、そうですね」
ディーナ「じゃ、じゃあ私たち、後片づけやらなきゃいけないから。戻るね」
リサ「はっぴーばれんたいーん!」
ディル「なんだったんだ。一体」
ジャル「俺、生きててよかった……。そしてディル! ほんとにうまいのか? 身体に異常は?」
ディル「嘘じゃねえよ。異常もない」
ダズ「見た目も……普通のチョコケーキだね」
ジャル「リイラ……グッジョヴ! これで俺のバレンタインは安泰だぜ……」
ダズ「ジャル、よかったな。一個ももらえないのは回避できて」
ジャル「その余裕がむかつくなおい。見てろよ。来年はお前らをぎゃふんと言わせてやるんだからな!」
ディル「なんの勝負だ」
リサ「レオにも渡せたし、これで全員。無事に渡せてよかったねー!」
リイラ「そうですね。あとは、この戦場をどうにかするだけです」
ディーナ「このことに関してはほんとごめんなさい……」
リイラ「いえいえ。今年はディーナも頑張りましたものね。味も美味しかったようですし、本当によかったです」
ディーナ「リイラ、リサ。ほんとにありがとう。おかげで来年は私一人で作れそうな気がする……!」
リサ「いや、それはやめておいた方がいいかなー」
リイラ「来年はまた違うものをお教えしますね。それより、リサは調理中仕上げにと何かやっていたようですが、何をしていたんですか?」
ディーナ「あ、それ私も気になった」
リサ「あ、知りたい? 実はね……これでした! 新開発『ときめきくん』! バレンタインと言えば恋の季節ということで、単刀直入にいえば
惚れ薬です」
リイラ「惚れ薬……」
ディーナ「まさか、それをチョコの中に入れたの……?」
リサ「えへへ。あ、でも確率は4分の1だよー。男性陣の中の誰か一人が、運良くあたしの実験台になれる仕様です。うまく行けば飲んだ人はあたしの言うことをききたくて仕方なくなってくれるんだけど、失敗すると……」
どかーん
リサ「そう、どかーんといっちゃうのです。って、あれ?」
リイラ「爆発しましたね」
ディーナ「失敗してんじゃないの!」
メルベル「みんな大変! ジャルの部屋で謎の爆発が……!」
リサ「あちゃー。失敗かあ……」
リイラ(ジャル……可哀想に)
完
ジャル「バレンタインなんてもうしらないっ!」